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塗装工事での減税制度の利用可能性

工務店からの問い合わせ

先日、工務店からの問い合わせがあり、増改築等工事証明書を発行してほしいとのこと。
実は、銀行からリフォームの施主にそのような情報が入ってきたらしいです。

工務店の方は、いちおう制度を調べて、今回は塗装工事なので、対象外ではないかと思いつつ、ご連絡をいただきました。

それで結論は「対象外工事なので、発行できません」との回答をして終了しました。

銀行のアドバイスの理由

単なる問い合わせのひとつとしてみれば、大した話ではないですが、なぜ銀行が誤った情報を流すことになったのか。

リフォーム資金の借り入れをしたのでしょうから、その返済を助けるために、減税制度をお伝えするのは悪いことでは無いと思います。
むしろ、制度を知っていても伝えない工務店よりはずっと良い取り組みでしょう。

銀行の方は誰でも建築に詳しい訳ではないでしょうから仕方のない面もあります。

問題は、塗装工事が、所得税の減税対象であると誤解してしまうきっかけがあったか、あるいは、以前に証明書が発行されていたかもしれないということです。

塗装工事も発行できるという記事

実は、増改築等工事証明書と塗装工事の組み合わせで検索している方が、結構いそうだというのが、Google検索の候補からわかります。

それで、実際に検索すると、同じような発行できるという記事のサイトがたくさん表示されていました。

具体的なサイトは挙げませんが、試しに検索してみるといいです。

そこに書いてある記事を一部のみ引用すると、


住宅ローン控除を受ける事が出来る要件は「大規模な模様替えの工事」に該当する事です。

大規模とは建築物の主要構造部の一種以上となり、模様替えとは材料や仕様を変え改修工事前の建物の価値の低下を防ぐ工事となります。

通常外壁塗装は主要構造部の該当にはなりませんが、住宅ローン控除の場合は該当となります。

他の部位の塗装の場合は、主要構造部の該当とみなされませんので該当しません。

もし、発行可能ならば、してあげたいです。
しかしながら、建築士の職能によって、工事の内容を判定するのが、我々の役割です。
ルールに当てはまるかどうか、そのジャッジをきちんとしなければ、証明書に対する信頼性が低下してしまいます。

上記の引用サイトの内容は、明らかに間違いだと断言させていただきます。

リフォーム推進協議会の回答

いくら、この基準が理不尽だと言ったところで、それを無視する訳にはいきません。

そのバイブルとなるのは、リフォーム推進協議会の資料です。
そちらに
よくあるお問い合わせ
がありますから、読んでみましょう。
はい、単体の塗装工事は対象外ですね。あとは、第1号工事と同時にする塗装工事は認められそうです。

では、第1号工事の説明が下にありますから、そちらを見てください。


通常、この文脈では「大規模の模様替え」しか、該当しないでしょう。

この模様替えとは、屋根なら「葺き直す」外壁なら「サイディングなどを貼る」という以外には、考えにくいです。
物理的には、建材の交換があるかどうかです。

塗装も建材だと屁理屈を言われるかもしれませんが、塗装単体では認められません。
いや、シーリング材を打ち直していると言われましても、外壁の過半の面積を占めませんよね。

どこがおかしいのか

先ほどの誤った記事について、どこがおかしいのかを指摘します。

通常外壁塗装は主要構造部の該当にはなりませんが、住宅ローン控除の場合は該当となります。

屋根や外壁は塗装の有無に関係無く、主要構造部です。
損保ジャパンサイト

外壁塗装は主要構造部に該当しないというのは当たり前です。主要構造部とは建物の部位であり、塗装とは全く次元の違う概念だからです。

その後、なぜ塗装工事の場合に、住宅ローン控除の対象となるのかの説明は無いまま、ただ該当となると言い切っています。

この該当は、対象工事に該当すると言っているのでしょうが、上の文章と繋がっていないですね。

これは理解していないか、わざと誤った解釈をしていることに他なりません。

良識ある建築士なら、これくらいのことはわかるでしょうから発行しません。

きちんと、発行できませんと宣言している設計事務所もあります。
また、税務署やリフォーム推進協議会に問い合わせても、同じ回答が返ってきます。

ルールを無視して発行すれば、儲かります。発行できるところが限られていれば、余計に集まってきます。

だけど、これはやってはいけないでしょう。